切な誰かを失っても、それで残された人の人生まで終わってしまうわけではありません。残された人間は、どうしようもなく生きてしまう。いつか他の人を好きになることもあるでしょう。失ってしまったもののことを少しずつ忘れていきもするでしょう。そうして生を長らえるのは、はたして正しいことなのか――。自問しつつ、やはり人は生きていかねばなりません。たとえ何かを失っても、それを認めて乗り越えたところに新しい自分がいることを、この小説を読むことでちょっとでも信じてもらえたら嬉しいです。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。