兄弟なんてなりたくなかった
- 作家名
- 香鳴タビト
「兄弟なんて……残酷だ」そう呟いた目の前の弟は、俺が知らない顔をしていた―……。
親の再婚で弟になった・達海は、高校時代の後輩であり、俺の好きな人。でもこんな感情、間違っている。
高校時代、想いを告げることなく卒業、もう一生会えないと思っていた。だから兄弟になれたこと、再会できたこと、嬉しくとも辛くともあったんだ……。想いは告げられないのに、一つ屋根の下で一緒に過ごす日々……。
達海に上手く接することが出来なくなって、そのうち二人に溝が出来て、会話をしなくなった。これでいい……これでいいはずなのに……こんなにも胸が苦しい――……。達海のこと、好きで好きでたまらない。俺、兄弟じゃなくて恋人になりたい