2月13日発売の『WIRED』VOL.27は、"科学"はどこからきて、どこへむかうのかを問う大特集
人類に自由や進歩や豊かさをもたらしてくれるはずだった「科学」は、
いつしか人を、科学自身を、窮屈な機械論的世界のなかに閉じ込めてしまった。
「科学」は、いかにしてみずみずしさと驚きを取り戻すのか。
本誌では、テクノロジーと科学の関係を見つめてきた科学哲学者・村上陽一郎の
ロングインタヴューを収録。さらに、この先科学は豊かさに満ちた
「未知の世界」とどう向き合うのか、蔵本由紀、長沼伸一郎、北野宏明、
宇川直宏、ピーター・ペジックの5人の賢人に訊いた。
民俗学者の畑中章宏は柳田国男とガストン・バシュラールの火の考察から、
もうひとつの「科学史」を問い直す。1月に発売された新刊『フンボルトの冒険』から一部抜粋。
『フンボルトの冒険』の著者であるアンドレア・ウルフのインタヴューも掲載している。
京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・宮野公樹と
ゲーム作家・山本貴光が「サイエンス」の本来を問い直す。
さらに、トランプ大統領就任式当日に行われた
50万人規模のウィメンズマーチに参加したライター佐久間裕美子が
、 アメリカの「戦いの時代」の姿を描くレポート「ふたつのアメリカ」も掲載する。
また、科学が苦手な『WIRED』編集部がこの号をつくるために
一生懸命読んだ13冊の本もご紹介!
特集「Before and After Science サイエンスのゆくえ」
◇科学はどこからきて、どこへいくのか:科学哲学者・村上陽一郎との対話
テクノロジーと科学の関係を見つめてきた科学哲学者・村上陽一郎は、
科学を「ユニークソリューション」として捉えてはならないという。
科学が向かわなかった道とその行先を、自らの人生とともに振り返るロングインタヴュー。
◇神の鋏、CRISPR-Cas9:遺伝子編集・科学とビジネスと倫理の迷宮
2012年、カリフォルニアのふたりの女性生物学者が発表した論文は、
種の運命を変えるだけでなく、莫大な富と権力をもたらす“神の御業"だった。
この革命的な科学技術がもたらす“力"をめぐる骨肉の争いは、
もはや誰にも止めることはできない。
◇『フンボルトの冒険』の著者、アンドレア・ウルフに訊く
わたしたちは、フンボルトの眼から
もう一度、世界を新しく見つめなおすことができる
科学の専門化以前の世界で「科学界のシェイクスピア」と呼ばれた
ドイツ人科学者、アレクサンダー・フォン・フンボルト。
彼が生涯をかけて実践した人々の心に語りかけるストーリーとしての科学から、
いま、わたしたちが学ぶべきこと。
◇飛びたたぬ梟たちのために:21世紀の「学問」論:宮野公樹×山本貴光
大学はかつて「学問」の場所だった。
そこでは世界を理解するための“知"が、羽ばたく瞬間を待っていた。
哲学から大学が遠ざかり、たこつぼ化が叫ばれるいまこそ
「サイエンス」の本来を問い直す必要がある。
京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・宮野公樹
とゲーム作家・山本貴光がオルタナティヴな知の殿堂、京都大学で相まみえた。
◇美しき異端:独立科学者、ルパート・シェルドレイクの肖像
かつて科学界のメインストリームから「もっとも危険な科学者」と糾弾された
ルパート・シェルドレイク。以来30年以上にわたって、
これまで科学が見て見ぬ振りをしてきた「日常に潜む不思議」に迫ってきた
博士の姿から、いま、わたしたちが学ぶべきこととは何か?
◇遠野へ:柳田とバシュラールと火の科学史
科学的実証のない民話や神話は、現実ではないと言ってよいのだろうか。
柳田国男とガストン・バシュラールの「火」の考察を手がかりに、
民俗学者・畑中章宏が探るもうひとつの「科学史」の可能性。
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