サンプルのサラリーマンケンタウロスの健太郎だけで十分お話として満足できるのに、それをイントロダクションにして主人公を変え総勢5人(馬)のお話がオムニバスで続く。長生きのケンタウロスと相対的に短命な人間が、その違いを理解しつつ関わりあっていく様は、汎用的な葛藤と喜びがあり、紀元前から人間と関わって来た猫や犬を思わせます。短命の人間がケンタウロスに名前を与えてきた、とする逸話が入っていますが、身近の動物に置き換えて考えれば、パートナーとしての犬猫動物達もケンタウロスのように言葉を話すなら、信頼した人間には名前は名前を与えてくれたのでしょうか。などどストーリー外のことにも思いを馳せる余地の、物語性の有る作りです。…でもギャクなギャップがじわじわくる良作。内容自体は真面目な人間ドラマですが、くそまじめな顔で「一馬身上の都合」などどのたまう(駄洒落な)ノリなので、生真面目な話が気恥ずかしい人でも嫌味なくさらっと読めると思います