それは、岸田が首都高で渋滞に巻き込まれたタクシーの車内でのことだった。突如鳴り響いた怒声―なんぴとたりともオレの前は走らせねェェーッ。
懐かしい言葉に郷愁に駆られた岸田は、かつて友としてライバルとして自分の心を焦がした男、赤木軍馬に会いに行こうと決意する。
7~8年ぶりに軍馬のもとを訪れた岸田は、当時とは全くの別人のように、車の解体業を営んでいる軍馬の姿にショックを隠せない。
すべては軍馬の実の息子―瑠璃を車、ひいてはレースから遠ざけるためだった。そして、車が邪悪で不要なものだと身を持って示すため。
しかし、成長した瑠璃の写真を見た岸田は、先日自分が首都高で見かけた若者は、瑠璃だったと軍馬に告げる。
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