1946年日本回想録 (敗戦を乗り越えた人々)
- 作家名
- バーナード T. スミス
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第二次世界大戦後、GHQのメンバーとして派遣された一人の英国連邦空軍将校が目の当たりにした真実の日本。悲惨な戦争の爪痕、打ちのめされた人々、目を背けたくなるような現実。けれどもそこには、前を向いて歩き出そうとしている日本人の姿があった。難しい任務や葛藤、地元の人々との交流によって、若き主人公(著者)は数々の経験をし、成長する。無味乾燥な歴史の教科書では知ることのできない、一人の外国人の目を通して語られた戦後の日本人の姿は、とてもたくましく美しいものだった。
終戦から半年後、中国・四国地方の占領任務を米国軍から移譲された英国軍は呉市に司令部を設置。空軍部隊に所属していた主人公を岩国で待ち受けていたのは、見た目だけは立派だが、部屋の半数には窓もドアもなく、給湯設備どころかまともに手洗いできる場所もないような建物だった。部隊を一から構築しなければならなかった英国軍は、任務遂行のために地元の人々を雇い、労働招集にかり出し、必要なものは接収せねばならない。そんなつらい任務や後に施行された交歓禁止令による苦悩。だが、主人公は、なんとか地元の人々と交流を重ねていく。
『1946年日本回想録〜敗戦を乗り越えた人々〜』は、現在90歳を過ぎた作者が心を込めて書いた日本へのラブレターだ。日本文化に対する知識も深く、観察眼に長け、何より日本を愛してくれている作者の言葉は、今の日本人にとっても力強いエールとなることだろう。