性転のへきれきシリーズある若いホームレスの立身出世物語若いホームレスが駅の階段で空腹によろめき、後ろから来た男性の肩がぶつかった。3段ほど階段を転げ落ちて仰向けに倒れているホームレスに「大丈夫か」と声を掛けた男性は大阪から出張してきたある会社の社長だった。その出会いがホームレスの人生を変えた。男性は牛丼の特盛3つをテイクアウトで購入し、自分が宿泊するホテルで若いホームレスに何ヶ月ぶりかの入浴をさせた。近くのドンキで安物のジャージーとスニーカーを買ってきて、死ぬほど臭い衣服と靴をホテルの前の通りにあるゴミ箱に捨てに行った。百均で買ってきたハサミで、ボーボーだった髪を散髪してくれた。男性が経営する大阪の会社は北千住に関連会社があった。ホームレスが去年国立大学を卒業後ブラック企業でこき使われノイローゼになって放り出されたという事情や恵まれない身の上話を聞いて同情した男性は、その関連会社が退職者補充で1名募集中だったことを思い出し、その場で関連会社の社長に電話を入れたが、高校新卒女子1名の採用だから男性は対象外と言って断られた。翌朝、社長自らがもう一度関連会社に行って、採用を働きかけてくれることになった。「まずは身なりから。」と、社長はホームレスを近くの紳士服チェーンに連れて行った。3月の下旬、スーツを含む就活5点セットの大バーゲンの広告が出ていた。「君に就活5点セットをプレゼントしよう。出世払いで良い。」と言われて「ありがとうございます。」と礼を言ったホームレスだったが、店員の持ってきた服を見て目を疑った。それは女子用のスカート・スーツだった。