この『これで読破!世間胸算用』は、井原西鶴の最晩年の作品です。原文、現代語訳に続いて、元龍谷大学教授・宗政五十緒(むねまさ・いそお)の解説と、在野の国文学者・藤倉光一(ふじくら・こういち)の感想を含んでいます。全五巻、一巻に四話ずつ二十話を収録しています。平安文学と違って、原文自体は非常に読みやすいのですが、貨幣基準がいくつもあり、複雑さに敬遠されて来ました。これは、大晦日だけに焦点を絞った借金取りと、それを逃れる人々の攻防の悲喜劇を描いた作品です。「草子」ですから、気軽な気持ちで是非、娯楽本として読んで頂きたいと思います。
『これで読破! 世間胸算用』は、三石由起子の「これで読破!」シリーズです。高校生の授業にも充分対応しています。また、2014年の東京大学理系の入試問題にも出されましたので、解説は丁寧にほどこしています。高校生や受験生は、参考書がわりに使ってください。