パリのヴォージュ広場で300年の伝統を誇る「王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)」は、世界中の観光客あこがれの最高級ホテル。この15室しかないホテルの知名度を利用し、倒産寸前の旅行会社が企画した起死回生策とは、「王妃の館」に滞在するパリ10日間149万8000円の超豪華「〈光(ポジ)〉ツアー」と、19万8000円の格安「〈影(ネガ)〉ツアー」を同時に催行し、ツアーの「二重売り」によって月末の手形決済を切り抜けようというもの。
しかしながら、両ツアーともに、参加者はひとクセもふたクセもある個性派ぞろいで、参加者たちが繰り広げる予想外の事態により、ツアーの二重売り計画は次々と危機にさらされ、破綻していく。トラブルの連続、突拍子もないギャグ連発のドタバタ人情劇は、エンターテイメント性たっぷりに楽しませてくれる。この現代劇の合間に、17世紀の「王妃の館」にまつわる逸話が、しっとりとした趣で織り交ぜられていく。