「握っていなければならぬ貴重な手がふと離れてしまうとき、あたりにたちこめるとりとめのない時間は、甘美な苛酷さへとまがまがしく変容する。その一瞬に立ちあった者の心の乱れは、容易にはおさまるまい。『九年前の祈り』は傑作である。」─蓮實重彦氏
「彼女が水辺で、異次元に生きているかのようにも思われる息子と、突然に手をつなぐ。その電撃的な清冽さによって、この小説は尊い。」──朝日新聞・片山杜秀氏
「『現代』と『神話』の同居しているところに作品の愉悦がある」──毎日新聞・田中和生氏
「最も力のある作品」「悲しみに折れない人間の手応えが伝わってくる」──東京新聞・沼野充義氏
「すべてのものを飲み込んでしまうおおらかなたゆたいの中で、小さな粒を、一つのメルヘンとも呼べる澄んだ真珠に育て上げた。」──読売新聞・待田晋哉氏
など、各紙文芸時評で絶賛された傑作!