この『これで読破!蜻蛉日記』は、元学習院大学教授・木村雅則(きむら まさのり 大正十五年東京生まれ)の解釈と解説を数箇所に含んでいます。木村雅則は、平安時代の日記と物語文学の権威でしたが、特に『蜻蛉日記』はライフワークとして研究を続けて来たものです。また、元九州大学教授で、現在は国文学研究資料館長の今西祐一郎(いまにし ゆういちろう 昭和二十一年生まれ)の近年の研究と、本人からの取材をも大きく取り入れています。今西祐一郎も、『蜻蛉日記』の専門家であり、この日記には兼家の和歌が多く取り入れられていることから、『兼家歌集』の宣伝のために夫の協力を得て書かれたという独自の説を唱えています。本文は、底本の不備、不審箇所の訂正を、今西祐一郎が研究と私見を取り入れて作成した校訂本文岩波文庫『蜻蛉日記』を使用しました。現代文に文章化するに当たっては、今西の解釈を用い、木村の解説には三石の割愛や付加もあります。
『これで読破! 蜻蛉日記』は、三石由起子の「これで読破!」シリーズです。翻訳は、初めて読んでみよういう大人の鑑賞にも堪えうるものと自負しています。また、高校生や受験生が参考書がわりに使うにも、間違いのないものとなっています。