この『これで読破!伊勢物語』は、原文と現代語訳を並列し、語句の解釈と解説を数箇所に含んでいます。解説には、数か所に昭和五十年代の国文学者・高木市之助の講義を含んでいます。また、『古今集』との比較、『大和物語』との比較もしてあります。
昔、男がいた。元服では領地の姉妹に激しい恋の歌を詠みかけ、二条の后と思しき女性に恋をし、その結果であろうか、東国へ下り陸奥まで流浪する。また筑紫に下り、た摂津、和泉の国に遊ぶこともあった。物語の題名となった逸話では、狩りの使いとして伊勢に赴き、斎宮と夢のような一夜を持つ。惟喬親王の出家、兄弟や友人との交友、長岡に住む老母への思いに、泣きもし、笑いもする。そして最後には「つひにゆく…」の辞世を詠んで死ぬのであった。
『これで読破! 伊勢物語』は、三石由起子の「これで読破!」シリーズです。翻訳は、初めて読んでみよういう大人の鑑賞にも堪えうるものと自負しています。また、高校生や受験生が参考書がわりに使うにも、間違いのないものとなっています。