『これで読破! 平家物語』は、『これで読破! 源氏物語』に続く「これで読破!」シリーズの第二弾です。数年前、NHK大河ドラマで、原作と大きく異なる平家物語が放映され、大きな誤解を抱いた若者のため、また、それを機会に読みなおしてみようと思った大人のために完訳シリーズを提供します。
 『平家物語』には膨大な原本があります。専門家が分類すると七、八十種類にもなると言われています。もっとまとめても三十種類くらいにはなるそうです。
 まずは、琵琶法師が語った語り物の性格を持っている本で、これは十二巻に纏められています。その十二巻の系統も大きく二つに分けられ、はっきり十二巻の物と、十二巻の後に付録の巻、いわゆる灌頂本という建礼門院の物語がついている物です。
 ここに提供する物は、「断絶平家」と呼ばれる百二十句本で、十二巻ぴったりで終わる物ですが、灌頂本に含まれる物語も、十二巻の中に入っています。内容は変わりませんが、構成の潔さからこれを選んでいます。これを十句ずつ本分と完訳をつけ、丁寧な解説をしています。
 受験生から大人の娯楽まで幅広くお楽しみいただけると自負しております。
 平家の都落ちは、それぞれに悲しく美しい物語が語られます。ただ一つ、平家の恥とされた頼盛にも彼なりの事情はあったのです。
 平家巻第七 目録
 第六十一句 平家北国下向
 第六十二句 火打合戦
 第六十三句 木曾の願書
 第六十四句 実盛
 第六十五句 玄昉の沙汰
 第六十六句 義仲牒状
 第六十七句 平家一門願書
 第六十八句 法皇鞍馬落ち
 第六十九句 維盛都落ち
 第七十句  平家一門都落ち