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この物語は、平安時代の大勢の貴族たちの目を通して、当時の生活習慣、花鳥風月を楽しむことができる。現代人にも共通の恋愛と結婚、出産、別離、嫉妬などの様々な場面で、人の世の栄華と無常、そして何よりも人の世に生きることの喜びが描かれている。
お受験のカリスマ・三石由起子が読み解くからこそ、高校の教科書のアンチョコ・虎の巻としても使えてしまう目から鱗の『源氏物語』。帰国子女や理系の出身者にも是非読んでいただきたいと、分かり易く書かれました。与謝野晶子、谷崎潤一郎の解釈は言葉が難しくて萎えます。瀬戸内源氏や円地源氏も、何だか女が湿っぽくて悲しくなる。常識として省かれる和歌の解説も丁寧です。
さて、五十四帖からなる物語の第三十四帖は、全編の「若菜 上」である。朱雀院のご出家に伴って、源氏は院から女三宮のご後見を依頼された。親代わりの夫として育ててくれるようにと言う御内意である。当代のきらびやかな男達が申し出る中、源氏に若い競争心と自信が湧いたのである。源氏は正妻として女三の宮を迎えることを決めた。心穏やかではないはずの紫の上は、だが、案に反して冷静であった。夫婦のそれぞれに孤独と寂寥が募って行く。明石女御となった源氏の姫は皇子を生む。明石の入道はそれを知って入山した。源氏の心には紫の上だけがあったが、その間隙を突くように柏木衛門督の心が女三の宮へと向かっていた。
いつの時代にも、人の想いはさまざまである。さあ、カオスなエロスの世界にようこそ。
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