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この物語は、平安時代の大勢の貴族たちの目を通して、当時の生活習慣、花鳥風月を楽しむことができる。現代人にも共通の恋愛と結婚、出産、別離、嫉妬などの様々な場面で、人の世の栄華と無常、そして何よりも人の世に生きることの喜びが描かれている。
お受験のカリスマ・三石由起子が読み解くからこそ、高校の教科書のアンチョコ・虎の巻としても使えてしまう目から鱗の『源氏物語』。与謝野晶子、谷崎潤一郎の解釈は言葉が難しくて萎えます。瀬戸内源氏や円地源氏も、何だか女が湿っぽくて悲しくなる。常識として省かれる和歌の解説も丁寧です。
さて、五十四帖からなる物語の第四十七帖は、「総角」である。薫君の計らいで匂宮と中の君は結婚に至った。ただし、時期東宮にとっては、秘密裏の結婚である。姉の大君は心配でたまらなかった。薫君の人柄に惹かれながらも求婚を拒み続けている。妹姫になかなかお通いのない匂宮を思って、大君は病気になった。そうして、この病気を幸いにして餓死しようと計るのであった。薫君の親切が身に沁みていた。平癒すれば妻になることを断れないだろう。妻になれば、自分もまた悲しい思いをするに違いなかった。ここで死ぬことこそ、永遠に変わらぬ愛を手に入れることなのである。
いつの時代にも、人の想いはさまざまである。さあ、カオスなエロスの世界にようこそ。
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- 72
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